模型製作工房 AdamantiumFactoryのブログ

模型製作代行を行っておりますAdamantiumFactoryのブログです。ヤフオクに完成品の出品などもおこなっております。製作した作品のことや、これから製作するモノ、模型について色々と記事を書いていきますのでよろしくお願いします。

ゲートリムーバーセットを使ってみました

ゲートリムーバーセットをざっくりと使用してみましたので使用感などをレポートしようと思います。

セットの中には「RASER」「BALANCER」「RECOVER」の3種類の工具が入っていますが、本命は強化ガラスで出来ている「RASER」です。

ヤスリ面の裏地を触るとかすかな引っかかりはあるものの、指で擦っても普通のヤスリのような削れるような感覚はありません。軽く触っただけだと切削力があるようには見えない感じですね。

早速ヤスってみました。ゲートを軽く残して切断したパーツに当ててみます。

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少し滑るような感覚はありますが、上手くヤスリ面に引っかかる角度に入るとサクサク削れる感じです。このへんはちょっとコツがいるかもしれません。削った感じは400~600番あたりのペーパーを当てた感じでしょうか。削れる量も大体そんな感じです。
あと、いわゆる水研ぎには対応していないと思います。水で濡らしつつ削ると滑ってうまく削れませんでした。

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綺麗に削れました。少し驚いたのは研磨面にほぼキズらしいキズがなく、逆に少し光沢を帯びるような感じに仕上がることです。そこそこ番手が上なペーパーでヤスっても、普通はヤスリをかけました、みたいな曇ったような跡が残るのですが、そういう感じにはなりませんでした。
こういう平面のあるパーツだと目立ったキズもほぼ無く削れますが、強化ガラス製で当然固い素材なので、曲面などを削ろうと思うとちょっと難しい場合もありました(余計な場所にヤスリが当たる場合あり)。そういった場所は普通のペーパーを使った方がよさそうです。
サイズは程よい感じですが、キットによっては削りにくい場所にゲートが来るモノもありますので、その辺は臨機応変に使い分けるといいのではないかと。

次に削った面に「BALANCER」で軽く研磨します。文字の書かれた白い面が光沢仕上げで、逆はマット仕上げになります。

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軽く数回擦っただけですが、結構テッカテカになります。先に研磨した状態にある程度依存しますが、あまりキズも目立たない感じでした。マット仕上げの裏面で擦ると、今度はつや消し仕上げを行ったかのようなマットな感じになります。BALANCERは双方の面を交互に使うと、光沢、つや消しと何回もやり直しができました。
2~3回しかやりませんでしたが、光沢が消えたマット面をBALANCERの光沢面で磨くとテッカテカな状態に戻るのは中々面白かったです。
なお、BALANCERのマット面仕上げを使っていて、メラミンスポンジで似たような効果になったような気がしたので、実際にメラミンスポンジを用意して使ってみましたが、似たようなつや消し面になりました。
半永久と公称されているRASERと違い、BALANCERは消耗品なのですが、つや消し仕上げにしたいだけならメラミンスポンジでも代用出来ると思います。
光沢仕上げの方はちょっと代わりになるモノが思い浮かばなかったので、光沢仕上げを使いたい場合は、BALANCERを補充するしかなさそうですが……。

次にこの工具の売りと思われる透明プラのゲート処理を行ってみました。今回はMGシェンロンガンダムのビームトライデントのエフェクトパーツを磨いてみました。

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RASERでゲートを落とし、BALANCERの光沢仕上げで磨いてみたものです。RASERでゲートを落とした時点で目立ったキズや曇りもない感じでしたが、BALANCERで仕上げるとゲートがどこにあったのかも分からなくなりました。自分はこの後塗装してクリアコートで仕上げるのですが、塗装するならRASERだけで十分かもしれません。

これはBALANCER以後の工具に言えることなのですが、光沢、マットいずれにしてもいわゆる無塗装で簡単フィニッシュをやる向きの人向けのモノだと思います。
最終的に全塗装する場合だと、ゲート周りの処理ってペーパーの跡が少々残っても問題はありませんが、簡単フィニッシュの場合だとプラの質感がどうしても目立ってしまうため、ヤスリをかける作業は塗装仕上げよりも神経を使いました。
このゲートリムーバーセットを使うとBALANCERで良い感じに面の統一が出来てしまうので、無塗装仕上げや簡単フィニッシュを容易に出来るようになるのではないかと思います。

塗装派としても上手く使えばキズがあまり残らないRASERは面白い工具ですし、特に透明プラのゲート仕上げにはかなり有用な工具だと思います。

先にも書いた通り、柔軟性は無いガラスヤスリのため、使用場所がある程度限定されてしまう点と、ABSのような滑らかな樹脂を削るのには向いていない(RASERを当てても滑りやすく、少し削りにくかったです)など、場所によって使い分ける必要は感じましたので、従来のペーパーなどと併用して使いわけたいと思います。

あ、RECOVERについてですが、他の工具を当てた場所を擦ると、元パーツの質感っぽいモノに戻るような感じはしましたが、大きく使い所は無いかな……という印象でした。
他にはRASERの切削粉の除去に使うみたいですが、水で濡らしてティッシュで拭けば簡単に落ちるので、RECOVERを使わなくてもいいかもしれません。

最後に簡単にまとめます。

良い点、利点など
RASER
・コツはいるけど意外と削りやすい。切削感は400番~600番くらい。
・耐久性が高い(公称では半永久と言われていますが、切削粉を洗いながら使うと使用感は変わらなかった)。
・キズがあまり目立たない、透明プラを削っても目立ったキズはほぼつかない。

BALANCER
・パーツを磨くだけで光沢、マット仕上げをコントロールできる。
・無塗装仕上げや簡単フィニッシュの場合、RASERと併用することでゲートを目立たなくすることが可能。
・マット仕上げならメラミンスポンジでも代用は可能(BALANCERのマット仕上げの方がメラミンスポンジよりもやや光沢寄り)。

欠点、苦手な面など
RASER
・ABSのような滑りやすい素材を削りにくい。
・水研ぎ出来ないので、どうしてもプラ粉が出やすい。
・パーティングラインの処理に向かない。合わせ目の処理にも向かない。

BALANCER・RECOVER
特に目立った欠点は無し。塗装する向きの人は使い所があまり無いくらい?

こんな感じです。

いわゆる素組み派のモデラーさんにはゲートを綺麗に処理できる決定版的なツールと言えるかもしれません。

塗装派の人でもサフ吹きの際にキズが出て落胆する率が減らせるのと、透明プラのゲート処理が楽になる等の作業効率化が期待できるツールだと思います。切削力がそれほど強いツールでもないので、自分で普段使っているツールとの使い分けを考える必要はありますが。