耐摩耗に優れているということで、模型のパーツにちょくちょく見るようになったPOMという素材があります。コトブキヤさんがFAG等の首、肩、手首等の主関節部に良く利用していて、それまで同パーツで使われていたABSと比べて耐摩耗性が良いのか、最初の内は同一パーツをABSかPOMかの2択式となっていたのが、気がつけばPOMに完全に置き換わっていく流れになりました。
ABSと比べると、触った感じでは若干固いかな? という程度の差しか無く、実際に関節部に使っても問題無い感じなのですけど、このPOMという素材には模型で使うには一つ大きな弱点がありました。
それは、塗装がまともに乗らないということです。塗装を弾いたりすることは無いのですが、乾燥後に軽く指で触れるだけで大体の塗装はボロボロと剥がれ落ちます。
マルチプライマーやプライマーZ等の下地材を吹いて対策を取っていましたが、直接吹き付けるよりはマシなものの、決定的とは言えない感じで何か使える下地剤は無いかなあ……と思っていました。
そんな中、行きつけの模型屋さんでアクリジョンを使ってみてはどうか? という話を聞きました。アクリジョンはクレオスさんがこの数年展開している塗料で、気になる臭いが殆ど無く、塗面も強い(乾燥したらラッカーでも重ね塗りが可能)と面白い性能を持つ塗料なのですが、エアブラシで使用するのにコツがいることと、個人的にはラッカー塗料を使うのに慣れていることもあり、あまり使っていませんでした。
そのアクリジョンですが、レジン等色んな素材への食いつきが良く、話によると光硬化パテ(紫外線で硬化し、柔らかくて削りやすいのですが、素材への食いつきがイマイチという特性のあるパテ)の下地に使う人もいるとか。
そちらの使用用途も少し試してみたい気はしましたが、まずはPOMへの食いつきを試してみることにしました。
というわけで製作中だったCFGガオガイガーのPOMパーツに塗ってみることにしました。
POMパーツの中でも比較的目立ちやすい、肩関節部位のパーツです。コトブキヤさんのPOMの使い方って、ほぼ見えない箇所や、見えないように工夫されている箇所が多いのですが、ここは塗装対象になります。
筆塗りで塗装が剥がれて欲しくない箇所に軽く塗りました。ボールジョイントのボール部位は、構造上塗装が乗ってほしくない(コトブキヤさんのキットは全体的に締め付けが厳しめなので、軸部分に塗装が乗ると動きがシブかったり、最悪破損の原因になったりします)箇所なので、塗っていません。この上からサフ吹いて本塗装も行いますので、そこまで筆ムラとかは気にしませんでしたが、ノビも良く、筆で塗ってもムラは気になりませんでした。
乾燥後、早速塗面を触ってみたり爪で軽く引っ掻いたりしてみましたが、かなり食いつきが良く、全く剥がれ落ちる感じが無くて驚きました。
その後、サフ吹きから塗装も行いましたが、他のプライマー類と比べても塗料の食いつきが良く、思いっきり爪で引っ掻くなどは流石に試していませんが、信頼性は上がった印象でした。
FAGを製作している方でPOMの処理に悩んでいた方は、アクリジョンの下地塗りを一度試してみて頂けると塗装ハゲの悩みは解消されるかもしれませんので、一度試してみて下さい。
そうやって製作しておりましたCFGガオガイガーですが、無事完成しましたので、明日撮影、出品を予定しております。というわけでこちらもよろしくお願いいたします。